今3月期、20期連続増益必至のY社の背景

埼玉県を地盤に、関東圏で113店舗の食品スーパーを展開する上場企業に、Y社がある。今3月期、20期(20年)連続の営業増益・最高純益が予想されている。株式投資家のバイブルと称される「会社四季報:新春号」(東洋経済新報社刊)などは、来期についても「21期連続」を予想している。日本経済は、「失われた10年」「20年」と指摘されるが、そうした中、Y社の快進撃は注目に値する。

四季報を含め、広く同社の巧みな経営に関しては、「食品・食材の提案型営業に特色」と評価されるが、いささか抽象的に過ぎる。同社の長年の連続増益の礎は、現会長・社長の母親であり元会長のT・K氏の存在に求めることができると考える。
K家に嫁いだTさんは、若い時期から商売に対し頭角を現した。いまスーパーでは当たり前の風景だが、T・K氏は斯界でも早い時期に「セルフサービス」方式を導入したりしている。
そしてその真骨頂は、以下に記す二つの事由に象徴される。
10年余り前、好調な収益街道を走る同社の社内で、イオン等に代表される「総合スーパー化論」が持ち上がった。時間とともに、「総合スーパーの道を選択すべし」とする声が勢いを増していった。遂には、最終決定を計る経営会議が開かれることになった。総合スーパー化を求める声が圧倒的な中、断を下したのはT・K氏だった。

財務担当役員に、「総合スーパーの道を進むため、取引金融機関に、新たな融資枠を用意して下さいと申し込み、説得しきるだけの自信が貴方にはありますか」と切り出し、判断しかねる当該役員に、いや全役員に対し、穏やかだが、“反論は許さない”という怒気すら感じさせる口調で、こう言い切った。

「身の丈経営に徹するべきです」

あの時、総合スーパーの道を選んでいたら、今日のY社はあっただろうか!?
同社では、現場の担い手であるパートを、「パート社員」と呼ぶ(胸の名札にも、明記されている)。と同時に、その実績に応じパート社員にも年2回、「賞与」が支給される。そのことは、店内に貼られたパート社員募集用紙にも、はっきり謳われている。

さらには、身分保証に欠けるパート(社員)対策として、「組合加入」が認められている。パート社員は組合員という後ろ盾で、安心感を得ることができる。
当然のように現場の士気は上がる。それが、Y社を成長させる。こうした働き手のモチベーション向上策も、T・K氏の施策である。

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